睡眠は「脳を眠らせるため」だと思っていますか?脳を休めるために睡眠を取るという考えは、実は正しくはないのではないかと、最近の睡眠研究の中で言われ始めました。
覚醒時と同じくらい脳が活発なレム睡眠
確かに、人が眠っている時、脳の活動は低下する時もありますが、むしろ覚醒時と同様に活発な時も、そうでないときと同じくらいあります。みなさんご存じの「レム睡眠」「ノンレム睡眠」ですね。深い睡眠とされているのがノンレム睡眠で、脳波がゆっくりとなり、眼球運動がほとんどありません。一方レム睡眠は、起きているときとほぼ同じレベルの脳活動を示します。レム睡眠中は、まぶたの下で目が素早く動くのが観察されます。
レム睡眠は、感情的な経験を整理し、精神的ストレスを軽減してくれます。同時に日中に学んだことや体験を統合し、長期記憶として保存してくれます。睡眠不足でレム睡眠が不足すると、感情的な不安定さが増し、怒りや不安が強まることがあります。覚醒時と同じくらい活発なレム睡眠にも重要な役割があるのです。そもそも脳が活発なレム睡眠が進化的に残っているということからも、脳が活発な状態の睡眠に意味があると考えるのが自然でしょう。
実は、眠り始め直後はノンレム睡眠が中心で、深い睡眠が多いのです。「脳の活動を低下させる」のはそんなにむずかしいことではありません。1晩の睡眠中に、ノンレム睡眠とレム睡眠が約90分ごとに1サイクルを形成するのは有名な話ですね。朝方になるとレム睡眠の割合が増えていきます。
睡眠は脳を眠らせるためではないかも?
「睡眠は脳のため」という説は本当なのでしょうか?実は脳がない動物でも「睡眠に似た状態」に入ることが観察されています。例えば、クラゲは脳を持たない生物ですが、研究によると、活動を減少させる「睡眠のような状態」が観察されています。サンゴにも脳がありませんが、夜は活動が減少し、日中に活発になります。もっと単純なプラナリア(扁形動物)でも休息状態があり、睡眠に似た状態が観察されています。
ここまでくるともう睡眠が本当に「脳のため?」なのかは分からなくなってきます。そもそも睡眠に関しては未解明なところがとても多い分野です。ただ、最近は急速に研究が進んできているため、「睡眠は脳のため」かどうかについても、より明らかになっていくでしょう。
人間はなぜ眠るのか?
人間が眠る理由は完全には解明されていません。ただ、睡眠は脳と身体の健康を維持するために不可欠なプロセスであることがわかっています。その睡眠を自然な状態で取るためには、体に負担をかけない寝姿勢が大事です。解明されていない睡眠に対して、少なくとも体に負担をかけない姿勢でいることは大事です。まくら先生がオーダーメイド枕やマットレスのフィッティングにこだわるのは、よく分からないことが多い睡眠に対して「これは間違いない」と考えられるからです。その中でも特に「寝姿勢」を重要視しています。